コラム

老親扶養ビザで親を呼ぶ方法

※当事務所で取得した指定書(老親扶養ビザ)の写真です。

老親扶養ビザとは?

高齢の親を本国から呼び寄せ、一緒に日本で暮らすためのビザです。
このビザは、法律で定められたものではなく、申請人個人が、入管に対して詳細に事情を説明し理解を求め、人道的な理由により認められるビザです。

老親扶養ビザの実務上の要件

①親が高齢(おおむね70歳以上)であること
特定活動ビザ(老親扶養)取得可能性が高いのは親の年齢が一番重要です。おおむね70歳以上であることが目安です。ただし70歳を超えていれば、必ず許可されるわけではありません。逆に65~69歳でも病気や障害の程度によっては許可の可能性があります。

②親を扶養する親族が本国にいないこと
本国に年老いた親の面倒をみてくれる親族が誰もいないことが審査ポイントの一つです。一人っ子の自分が日本に来てしまっていることや、兄弟姉妹がいたとしても兄弟姉妹も本国にに住んでいないことが該当します。親の兄弟姉妹が本国在住でご健在の場合は、面倒をみてくれる親族がいると判断され、許可率が下がります。

③招へい人(申請人)が適切な扶養者であること
日本国内にいる招へい人(申請人)が、子であって、かつ他の親族よりも適切な扶養者であることを合理的に説明する必要があります。

④招へい人(申請人)の世帯に扶養能力があること
日本で招へい人(申請人)の収入が一定以上あることが条件になります。明確な定めはありませんが、年収800万円以上が一つの目安になっています。その他にも貯蓄や不動産などの日本での資産の状況を説明し、十分に扶養できることを入管へ証明すべきです。したがって、招へい人(申請人)の収入が低い又は生活保護を受けているような場合には、許可はかなり難しくなります。

⑤親が病気を持っていること
親が病気をお持ちであるほど扶養をしなければならない必然性が高まります。病気であることの証明は医師の診断書によって行います。

老親扶養ビザの取得が難しい理由

現在、高度専門職に認められている子供を養育するための親を呼び寄せる方法以外、外国から日本へ親を呼び寄せるための在留資格は存在しません。したがって、一般的には「短期滞在」などで入国する以外の方法はなく、長期的に日本で生活することはできません。

しかしながら、「高齢の親が病気を持ち、本国には面倒を見てくれる親族が誰もいない場合」かつ、「日本に住んでいる扶養者に老親を扶養するための収入や財産が十分である場合」など、法務大臣が人道的な見地から告示外の「特定活動(老親扶養)」の在留資格を認める可能性があります。

ただし、特例措置であるため、在留資格の具体的な要件などを公表しておらず、法務大臣が人道的に認めざるを得ない特別な状況以外は許可されません。また、事前に入管に相談をして申請を受理してもらうことになります(受理しても必ず許可されるわけではありません)。なお、重い病などで入院治療が必要な場合は、病気の状況などを踏まえ、入管から「特定活動(医療滞在)」の在留資格を案内される場合もあります。

老親扶養ビザ申請の流れ

①短期滞在ビザの申請
②短期滞在で入国→特定活動(老親扶養)へ在留資格変更許可申請
③許可・不許可の決定通知